100.『aroma』(名刺SSテキスト版)
久しぶりに会った彼から甘い香りがした。
スンと鼻を啜ると照れくさそうに笑った。
「イヤか?」
「そんなことはないよ。ただ……「香りを着るようになったんだなあって思って」
家族と過ごした時間はとうに追い越した。
「いろんな香りがあったよね
「汗と埃しかねえだろ?」
彼は言ったけれど、
部室の匂い、寮の食堂の匂い、湿布の匂い、二人でロにしたもの、目にしたもの:
「洒落てみるのも悪くないね」
「そうか?」
そうだよ。
キザなアンタも、照れているアンタも、
……どんなアンタも全部好きだよ。
(2019.7.4twitter投稿)
(2019.7.4twitter投稿)
小次健さんは【香水】をお題にして、140字以内でSSを書いてください。#140字でSShttps://shindanmaker.com/670615