5.『寝顔』(名刺SSテキスト版)
今日はどんな色の空を見て過ごしたのか、とか、
声や息遣いから探り、そこに小さな嘘が入り込むこともあれば、
わかっていながらそのままにすることもあり、
辛かったとは言いたくはないが、ただ、いまが幸せすぎるだけで
失くしたくねぇな、と、そんなことを思いながら寝顔を眺めているうちに……
また、寝そびれた。
「すげえよな。同じ時間に朝が来て、同じ時間に日が暮れるんだぜ。朝でもねぇのに『おはよう』って言わなくてもいいんだぞ」
頬をつつくと睫毛が揺れた。
「睫毛、なげえし」
鼻を撮むと眉の間に皺が寄った。
「苦しかったら口開けろー」
小さく開いた唇に近づけた指は、
「吸ってもいいぞ」
鬱陶しそうに払われたけど、
「かわいくねえな」
その後、長い腕が巻き付いてきて、
脚も巻き付いてきて、
「痛ぇよ……」
俺の言葉にあいつが笑った。
「やべえ、すっげ可愛い」
つか、どーしてくれんだよ、これ。
……俺、惚れすぎだろ。
(2019.3.26 Twitter投稿)リメイク