7.『溺れろ』(名刺SSテキスト版)
疼く体に逆らって、ギリギリと追い込みたくなる。
狂いたいのか、狂っているのか、それとも、狂わせたいのか……。
「大人しく抱かれてりゃいいんだよ」
「今日は気分じゃないって言ってるだろ」
「俺がやりてぇんだ」
「勝手なことを言うな」
怒鳴り合い、肉をぶつけ合い、そしてシャツのボタンが弾け飛ぶ。
噛みつくような口づけて俺の言葉は塞がれる。
這いずり回る唇。
腰を抱く腕の強さ。
鼻を掠める体臭。
迸る汗、汗、汗。
ズブリと体内を犯されるその瞬間を待つこの身が恨めしいとさえ思う。
だから、もっと欲しがれよ。
もっと、俺に溺れろよ。
何がどうという理由もなく、時にめちゃくちゃに抱かれたくなる。
「おまえが抵抗するからだ」
その先にある彼が残した足跡を彼自身が辿る優しさを期待して。
(2019.3.28 Twitter投稿)再録