11.『くしゃみ』(名刺SSテキスト版)
び、びっくりしたぁ。
「わりぃ。起こしちまったか?」
日向さんがグシッと鼻を啜った。
「寒いの?」
「いや、別にそういうわけじゃ……」
部屋の中はぐっちゃぐちゃ。
シーツもぐっちゃぐちゃ。
どうやら掛布団は俺が占領したらしい。
「平気か?」
「うん」
日向さんはまたグシッと鼻を啜り、「もうちょい寝てろ」と言った。
怠そうに立ち上がりかけた腰に手を回した。
「つかまえた」
「なんだよ。甘えてんのか?」
「かもね。少し温まったら?」
「そうだなぁ」
言いながら布団を整えてくれる。
甘やかされてるよなぁ、俺。
だって、自分のくしゃみで目を覚ましたことなんかないし。
(2019.4.1 Twitter投稿)リメイク