18.『ねだってみろよ』(名刺SSテキスト版)
我慢した分だけ息が甘くなることに気づいていない。
「たまんねぇな。そういうおまえ」
顎に近づけた顔を後ろに引いて、ガッと突き上げると耐えきれずに「ああっ」と鳴いた。
鳴いたところで動きを止めたら振り返って俺を見た。
縋るような瞳を直ぐに隠したあいつの耳の後ろを舐め上げた。
軽ぅく腰を使う。
「どうしてほしいんだ?」
「…………」
「ねだれよ。俺がその気になるように」
漸く、そんな感じだった。
震える声であいつは言った。
「もっと、……深く……もっと、俺に……」
もっと言えよ。
もっと俺を欲しがれよ。
もっと、もっと、もっと……。
(2019.4.6 Twitter投稿)再録