54.『席替え』(名刺SSテキスト版)
今まで斜め後ろから見ていた背中が見えなくなった。
ツンツンと突かれたり、ゴンと椅子を蹴飛ばされたり。
振り返ると低い位置に顔がある。
「シャーペンの芯、無くなった」
なんでそんな近くに顔があるんだよ。
偉そうに踏ん反り返ってればいいじゃないか。
手の上に顎を乗せて、見上げる瞳に胸が苦しくなる。
席替えしてくれないかなぁ。
見られるのもしんどいし、見ていなかったらそれもなんだか……。
「蹴るなよ」
「悪ぃ、悪ぃ。脚が長くてよ~」
ムカつく。馬鹿日向!
(2019.5.5 twitter投稿)リメイク