78.『ん……』(名刺SSテキスト版)
深くなる一歩手前であいつの胸を押した。
「この脚じゃな。これ以上は無理だ」
「わかってる」
そう言って、若島津は立ち上がりかけたけど、そこで俺が言っちまったから今のこの状況があるわけで……。
「早く治さねぇとな。おまえを抱くことも出来ない」
俺の言葉に振り返り、「キスしてもいいかな」と床に膝をついた。
「キスなら、」
「そうじゃなくて……」
ソファに立てかけていた松葉杖が床に転がる。
若島津が長い髪を耳にかけて、俺のジャージに手をかけた。
「腰、浮かせられる?」
ん、ん……と俺を出したり入れたり。
時々、髪を耳にかけ直し、ん……ん……と。
(2019.5.31twitter投稿)