連れてってよ 落書き 2021年12月02日 小次健さんは『連れてってよ』をお題に、140字でSSを書いてください。#shindanmakerhttps://shindanmaker.com/386208 [4回]
ある晴れた秋の朝 落書き 2021年10月29日 「起きろォ」言い方もガバッと布団を剥ぐる動作も乱暴なのに、俺を見下ろす瞳は優しかった。「……ン…いま何時?」「八時」「うそ!」一分で顔を洗って、一分で着替えをして、朝食は? パンとかあったかな?休み時間に購買に行くしかないか。ああああー、やらかした。若島津健一生の不覚。無遅刻無欠席だったのにぃぃー。ぐっちゃぐちゃにもつれた髪を撫でていると、ドンと肩を押された。あ、天井が見える。と思ったらバフと布団が腹に乗った。「嘘だ」「へ?」「ぜんぜん間に合う。間に合うどころかあと十分寝られる」むぅ。なんだよ、それ。ギロリと睨みつけたはずなのに彼はププと笑った。「可愛いなぁ」む! 可愛いとか言うな。俺は男だゾ。「ゴメンなぁ」むむ。これっぽっちも反省の色が見えないんですけどっ。「ちゃあんと起こしてやっからもっかい寝ろ」眠気なんかすっとんだわ!「日向さん、いつまで俺の腹に乗っかっているんですか。どいてください。起きますから」「はいはいっと」もうなんなんだよ。迷惑な人だなぁ……。と思っていたら、今度は語尾を引っ張らずに「ゴメンな」と言って俺の顔を覗き込んだ。無駄にイケボで腹が立ったけど、無駄にイケメン過ぎてすごく腹が立ったけど、この人にとことん弱いっていうかさー、なんだかんだで許しちゃうっていうかさー、「起きる時間をちょい早くしたら、おまえと話す時間も長くなるかなぁと思ってさ」なぁんて言われちゃうとね。「日向さん、それじゃあ寝る時間が減るんですけど……」「んー、それもそうだな。でも、十分くらい……」のぼりたての太陽が広く細く、横や斜めに差し込んで、壁も床も舞い上がった埃もキラッキラだった。とりわけ眩しい瞳に自分を映し、「いいですよ」と手を伸ばした。なんじゃこりゃ。通勤中クオリティ……おはようございます。快晴です♪ [5回]
眠れない 落書き 2021年10月21日 さ、寒い。寒くて眠れない。毛布を足せばよかったな。でも、冬物はぜんぶ押し入れの奥に押し込んであるし、薄かろうが軽かろうが布団から出るよりここの方がましなわけで……。ダンゴムシみたいに背を丸め、すりすりすりすり足を擦り合わせていると、「うるせぇぞ」隣のベッドから声をかけられた。慌てて左足の甲にくっついていた右足を剥がしピンと伸ばした。左足も同じようにした。布団の中で「きをつけ」をし、そのあと日向さんに向けていた背中をシーツをつけた。「ごめんなさい」首だけ捻って謝った。続く「うるさくして」は「うりゃあっ」と重なった。え、と声を発する間もなかった。バフッ。ドンッ。ガサッ。「うっ」掛け布団ごと移動してきた日向さんに乗しかかられ「うう」と呻くと、また、ガサッ。バフッ。ドン、はなかった。「起こせよな」「え?」「明日。起こせ。ったく、変な時間に起こしやがって」「ごめんなさい」ふたつめの「ごめんなさい」は聞こえていたんだろうか。「んー」と唸った三秒後には日向さんは眠りに落ちていた。寒くて眠れなかったはずなのに、あ、あつい。暑くて熱くて眠れない。なんじゃこりゃ… [4回]