四周年まめこじけん
正直、いい事ばかりじゃなかった。
調子がいい時もあれば悪い時もあるし、思うように結果を出せない時は八つ当たりもした。
スープが冷めない距離にしておけば良かったか、
そう思った事もある。
だけど、これだけは自信を持って言える。
別れようと思った事は一度もない。
「お前もだろ?」
「なにが?」
あ、ご飯粒…。
「ガキみてえに米粒なんかつけんなよ」
「あ」
恥ずかしそうに口元に移動した手を払った。
指先にくっついた白い粒はなんとなく健気だ。
塊だと「飯」にしか見えねえんだけどな。
「いい。そいつは俺が食う」
こいつの口に入りそびれた飯粒を俺が食う。
こいつが抱えきれない事があれば、そいつも俺が食う。
こいつが泣きたい時は、こっそり泣かせてやろう。
今までこいつがそうしてくれたように。
「五年目突入だ」
「あっという間だったね」
今日も飯が美味い。
「日向さん、おかわりは?」
こいつがよそってくれた飯がすごく美味い。
…………
本日 tigre et neige は四回目のお誕生日を迎えました。
ありがとうございました。
昼休みに書いた「なんてことないまめこじけん」でした。