149.『足音』(名刺SSテキスト版)
気配を消すのも上手い。
気づいた時には、隣にいたり、急に背後から声をかけられ茶を吹き出したこともある。
「俺のクラスより進んでるんだね」
「うおっ」
英語の教科書の上に落ちたシャーペンがコロコロ転がって机の端で止まった。
「びっくりさせるなよ。忍者かよ」
「忍者って……何度か声をかけたけど?」
「本当か?」
「ホント、ホント」
コイツが足音を立てないのは本当だ。
「日向さん、最近多いよ」
だけど、ここ数ヶ月、やたらと物を落としたり、変な声を出すのは俺のせいかもしれない。
(2019.10.9 twitter投稿)