色気がある話が書きたい
たまにはエッチな話でもしてみましょうか。
今まで「いたしているだけ小次健」も書いてきましたが、エロが書きたいわけではなくて色気のある話を書きたいなぁと思っているのです。
色気があるかどうかは読んで下さった方に委ねるしかありませんし、自分では適量がわからなかったりします。
で、エッチな話なんですけど、(大人小次健の話なのでそのつもりで読んで下さい)
時間をかけてならす日向さん大好きなのですが、自分で準備をする若も好きなんですよね。
上に乗っかる若も好きだし、誘い受けも好き。一人エッチをする若も大好きです。
たまにでいいんです。たまにだからいいんです。
そっちの方がエロいというのもありますが、私の場合、どちらかというと若をエロく書きたいという気持ちよりも日向さんを格好良く書けたらなぁと思う気持ちの方が強いと思うんですよ。
普段とはちょっと違うことに気づいた日向さんには「エロいぞ」とか「おまえやばいぞ」とか「おまえが誘ったんだからな」とか、そういうことは言わずに、若の心のさざめきを黙って受け止めてあげたり、若が口にしづらいことを代わりに言ってひょいと掬い上げてほしいんです。
私の中では日向さんてそういう人なんですよね♡ 夢みすぎですかね?(笑)
ということで、後で下げますが美容師若のおまけSSを再掲します。
本をお持ちの方には申し訳ないのですが、たぶん、ここを見て下さっている方は本は持っていなくても見たことがある方ばかりではないかと思いますし。
かなりクセのある書き方をしているので、どうかなぁと思うのですが、自分ではこのシリーズの若が一番エロいんじゃないかと思います。パラレルなので自分の中にある枠を広げられたというか、そんな感じです。
パラレルは人によっては「別人でしょう?」だと思うのですが、自由に書けるかというと実はキャラ観だけで書くから難しかったりします。あくまでも私の場合は、なんですけども……。
ということで、使い回しですけど、チラッと読んで頂けると嬉しいです。
↓『ti amo』より『恋をしている』
十九でイタリアに渡り、五年間セリエでプレイした。
その後帰国し、俺は『恋』をした。
二度目の渡伊は一人ではなかった。
数年後に二人でスペインへ渡り、次に帰国した時には、俺もあいつも三十を超えていた。
名前、若島津健。
職業、美容師。
性別、男。
それが俺の恋人だ。
趣味は旅行と映画鑑賞。
血液型はA型。
実家は空手の道場。そこの次男坊。
駿足。因みにインターハイ出場経験あり。
料理はそこそこ得意。
掃除はまめ。
髪が長い。
背が高い。
色が白い。
非の打ち所のない美形。
性格は温厚で控えめ。だけど、芯が強い。とても強い。
よくもまあ、これだけの男を手に入れられたものだ、と、我ながら感心する。
「日向さん……」
一つ忘れてた。どこもかしこも……、エロい。
時々、こいつはどうやって女をベッドに引きずり込んでいたのだろうか、と、そんなことを思ったりする。
まあ、どんなに疲れていても、キス一つで俺はその気になるのだが……。
「なんだ?」
「え、ああ、まだ寝ないの?」
「あと少しで読み終わる」
ろくに読んでもいない雑誌に視線を落とした俺に、あいつは「じゃあ、先にベッドに行ってる」と、ぽそりと言った。
言った本人、普通だと思っているのだろう。
けれども、その声はしっとりと欲望に濡れていて、
「たまには誘ってみろよ」
俺の声に振り返ったあいつの瞳が困ったようにチラチラ揺れた。
「……誘っているよ」
確かに。
長い付き合いだからいつも同じようにするわけじゃないしなぁ。
あいつから誘ってきたこともあるし……。
「言い方が悪かったな」
少し斜めに傾いた白い頬に手を当て、
「今夜はおまえに口説かれたい」
その瞳に自分を映して俺は言った。
「いいだろ?」
あいつはふっと目を逸らし、
「…………」
俯いて、
「…………」
カチカチと時を刻む秒針が、
「…………」
微かに窓を揺らす二月の風も、
「…………」
ほら、普段は気にも留めない音を二つも拾ってしまったじゃないか。
「そんなに悩まれるとなぁ……」
言いかけると、あいつは目を伏せたまま「ばか」と聞き取れないくらい小さな声で言った。
パタリと雑誌を閉じる仕草に、そのあと、唇が触れ合うまでにかけた時間に、 ああ、今夜も俺の方が我慢できそうにないな。
心の中で呆れた溜め息をつく。
互いの舌を探り一つに溶け合うその寸前で、逃げるようにあいつの唇は離れていった。
「日向さん……」
黒い瞳がまた揺れた。
「日向さんを……」
ゆら、
「触らせて」
ゆら、ゆら、
「……あの」
少し意地悪が過ぎたか。
「触られる方が好きだろ? 言われたからってその通りにしなくてもいいんだ」
あいつは静かに首を横に振り、「今夜はそうしたいと思ってたから」と、俺の手を引いた。
押さえつけるように真上から肩を押され、ベッドの端に浅く腰掛けさせられる。
唇を合わせたままあいつの長い指がプチップチッとボタンを外していった。
ちゃんと計ればそうでもないのかもしれない。
だけど、一つひとつの動作がやけに遅く感じて、
「やらしい脱がせ方」
俺の言葉にボタンを外す速度が少し速くなった。
けれども、二つ外したところであいつは手を止め、「焦るとうまく外せない」と、元の速さで残りのボタンを外した。
首から始まり、縦のラインをあいつの唇がするすると降りていく。
鳩尾までいったそれは一度離れて、それから伺うように俺を見上げた。
「続けて」
唇はいま来た道を戻り、 鎖骨をなぞって、 首、 耳、 顎……、 そして、唇へ。
肩に引っかかっていたシャツをスルリと後ろに下げられ、腕を抜こうとすると……
「そのままで」
あいつの長い腕が下に伸びていった。
「少し、腰をあげて」
言われた通りにすると、あいつは俺の足の間に潜り込むように静かに床に膝をついた。
「いきなりしゃぶんの?」
あいつは小さく頷き、俺のペニスを露わにした。
それから、触れるより先に口を開けた。
「エロいな」
「日向さんの、……大きいから」
まさに絶景。
奉仕という言葉をセックスに使うのは好きではないが、跪き自分のものを出したり入れたりしている姿を上から見下ろすのは気分がよかった。
それがこんなに美しい男なら尚更だ。
ああ、手は空けておくべきだった。
「顔が見えない」
上から話しかけると、ピクリ、と、あいつが動きを止めた。
「前髪が邪魔」
もう一度言うと、今度は動きを止めずに長い指で髪を掻き上げた。
薄っすらと閉じた瞳も、白い額も、生え際さえ俺を欲しているようで、
「今日は、言ったらなんでもしてくれるのか?」
それには答えずに、
ただ、ん……ん……と、
リズミカルに俺を出したり入れたり、
ん、ん、と……、
俺、を……
ああ、これはヤバい。
「いきそ」
「う……ん」
少しテンポがあがった。
「……っ」
俺はあいつの口の中に精を放ち、あいつはそれを…… 全部、飲んだ。
ゴクリと喉を鳴らして。
零れた精液まで掬いとるように舐めて。
その匂いや味のせいだろうか、フェラのあとのキスもあいつのペースで、じわじわと浸食されているみたいだった。
着ているものを全て剥ぎ取ると、今度は斜め上から肩を押された。
「乗るのか?」
「ん」
「珍しいな」
「……ん」
俺、さっきから「ん」しか聞いてないな。
キスの余韻を引きずったまま、あいつはナイトテーブルからボトルを取り出し、ポン、とキャップを開けた。
「俺が……」
「たぶん」
……たぶん?
出したばかりだというのに、俺のペニスは挿入には充分な硬さになっていた。
あいつは自分の手にローションを垂らし、その手をゆっくり後ろに回した。
「自分でする気か?」
あいつはもう一度「たぶん」と言って、入り口に俺のペニスの先を当てた。
ハアと深く息を吐き、それから座るように腰を落とし始める。
感じるスポットを自分の動きで探り当て、
揺らしたり、回したり、ゆっくり、少しずつ……
俺を半分くらい飲み込むと、もう一度息を吐き、
あとは……一気に。
「痛くないのか?」
あいつの顔に朱がさす、と同時に、キュッとアソコもしまった。
「だって……」
……あ、少し緩んだ。
「してたのか?」
俺の言葉にあいつはこくりと頷き「日向さん、遅かったから」と言った。
職業柄あちこち移動するし、すれ違いは多かった。
だから、自分がそうするように俺が留守の時はあいつもしているだろうとは思っていた。
ただ、こいつは指ぐらい使うだろう、と。
俺がこいつをそういう身体にしたのだから、と。
「会えない時は、どうしようもない」
「…………」
「続けて」
「…………」
「したいようにしていい。待たせた俺が悪い」
「なんか……」
「どうした?」
「あらたまって言われると……恥ずかしい」
こういうヤツなんだよ。
結局、最後は俺の好きにさせてくれるんだ。
「日向さんがしてくれることは、全部嬉しいから……」
この身体は俺を拒んだりしない。
この瞳は俺を裏切ったりしない。
「日向さん、…ゅうがさっ、…ひゅうが、さん……」
この唇は俺の名を呼ぶためにある。
だから、昨日より今日、今日より明日。
俺の愛はどこまで膨らんでいくのだろう。
十九でイタリアに渡り、五年間セリエでプレイした。
その後帰国し、俺は『恋』をした。
あれからずっと俺は恋をしている。 『恋』をしている――――。
END