C翼二次創作/小次健love!  

(書きかけ)日向父と若父と幼児

確か書き始めたのは二年くらい前。それからずーーーっと放置している捏造SSです。
おとしどころがみつからないというか、ぼんやりあるんですけどいつ書き上がるかわからないので「こんなものも書いていましたよー」……こんな感じでチラ見せしてしまいます。
てか、続きを書ける気がしません。
だって、他にもこういうのがたくさんあるんですもん。。。
途中でやめるクセ、どうにかならないものでしょうか???

↓ 日向父と若父と幼児の話(途中で切れています)
 ※捏造だらけ。日向父と若父幼馴染設定。




「でもなぁ」
カンちゃんが顎を摩りながら唸った。
カンちゃんはバカでかい道場の主だ。
今でこそ、地元の名士なんてことになっている若島津寛と、俺、日向倫太郎は小学校からの付き合いで、家庭環境も頭の作りも似ても似つかなかったがどういうわけだかウマが合った。
たぶん、カンちゃんも俺も曲がったことが大嫌いで、俺は勉強は出来なかったが、声も態度もでかかったせいか、まあ、それなりに頼りにされていたしな。
カンちゃんはカンちゃんで成績優秀。空手も出来る。周りから一目も二目も置かれる存在だった。
学校で何か行事があると、ペアを組んで先頭に立たされることもあって、自然、言葉を交わすことも多かった。
とは言え、成績にはかなり差があったし、中学卒業後は会う機会も減ったんだけど。
地元の底辺高校にしか行けなかった俺と違ってカンちゃんは隣町の進学校から東京の大学に進学した。
なんでも『若堂流空手道場』は東京にも支部があるらしい。
カンちゃんは大学在学中は支部で稽古をしていたみたいだし、詳しいことはよくわからねえが、とにかく16から暫くの間は殆ど顔を合わせることもなかった。
確か23の時だったと思う。
たまたま明和の駅で見かけて、声をかけたら「戻って来ていた」と言いやがった。
「なんだよ、戻って来てるんなら連絡しろよ」
「悪いな」
「別にかまわねえよ。たまには酒でも一緒に」
なんて言ったその数か月後にカンちゃんは結婚した。そんで、あれよあれよという間に三人の子持ちになったんだよな。
まあ、互いに家庭もあるし、しょっちゅう会うわけじゃないが、会えば気を遣うほどの間柄でもない。それなりに話は弾む。それが俺とカンちゃんだ。

今日だって、たまたま駅前の本屋から出てきたところを見かけて、「よお」と声をかけたら「よお」。「元気か?」と聞いたら「元気だ」
こんな感じで歩きながら話をしていたのだが、聞けば奥さんが四人目を妊娠中。
五年ぶりのおめでたにカンちゃんも大喜びで、ところが、あまり体調がよろしくなく実家に戻っているとか。間の悪いことに通いで来てもらっている家政婦さんも身内に不幸があって来られない。弟子はたくさんいるけど男ばかり。
で、話の流れで「三人の子の世話をするのは大変だろう。うちで預かるぜ」となったわけだ。




「倫、本当にいいのか?」
「かまわねぇよ。大変だろ?」
「でもなぁ」
「気にすることはねぇって。ただし、一人だけだ。おまえんとこと違ってうちは狭えからな」
「そうか?」
「俺とお前の仲じゃねぇか。そうそう、下の子でどうだ? 五歳だろ? うちの小次郎と同い年だ」

カンちゃんは「んー」と唸った。
因みになんで、俺は呼び捨てにされているかと言うと……、
なんでだったかな。忘れたな。ま、いーや。

「健、かぁ。大変だぞ」
「やんちゃ坊主か? なら心配いらねぇ。小次郎もだ」
「そうじゃない」
「泣き虫か? それも大丈夫だ。尊もだ」
「いや」

カンちゃんは、末っ子の健くんは長男、長女と違って少し気難しいところがあると言った。

「気難しいったって。五歳だろ?まあ、大人に囲まれて育ってりゃいろいろあるかもしれねぇけどよ。かえっていいんじゃないか? 小次郎は強烈だからな。刺激になって」

俺が「ガッハッハ」と笑ってやるとカンちゃんも少しほっとした顔をした。

「まあ、ホントのところを言うとだな、たまには違う子と遊ぶってのも小次郎のためになるんじゃねえかと思うわけだ。また幼稚園から呼び出されちまってよ」

息子の小次郎は、意地が悪いわけでもなんでもないのだが、周りの子より身体が大きかった。
力も強く、足も速かった。
頭の出来は至って普通、と言うか、やっとこさ「こじろう」と書けるようになったぐらいだが、運動の方が頭一つ抜きんでていて、周りが着いていけなくなることがちょくちょくあった。
鬼ごっこをしていたら、「小次郎くんが怖い顔をして追いかけて来て捕まえられた」とか、鬼が追いかけるのは当たり前じゃねーかよ、なんてこともしょちゅうで、しょうがねえから逃げる方をやったら誰も捕まえられなくてビービー泣かれた、とか。
勝手に転んだくせして、「小次郎くんが追いかけたから」とか、「小次郎くんがゆっくり走ってくれなかったから」とか。
それに文句を言う親もいて、先生もそこをなんとか工夫してくれたらなぁと思うのだが上手いこといかないらしく、とにかくこっちとしては到底納得出来ねえような理由でいちいちお呼び出しをくらうのだ。
そうなると、「幼稚園、つまんねえ」と思うわな。「ゆっくり走ってあげてね」が通じる年でもねえし。
情けねえことに、小次郎は五歳にして登園拒否一歩手前だ。どこかに息子がのびのび遊べる場所はないものか。思い切り走っても着いて来られる子はいないかなぁと思うわけで……。
まあ、健くんがどんな子かは知らないが、親の方はよく知っているわけで、少しは期待するわな。
そんなこんなで、ソッコーで話をまとめてカンちゃんの家に寄ったのだ。




通された座敷でやけに高級そうな茶を啜りながら、健君を待つ。
父親に手を引かれ現れた子供は、一瞬女の子かと思うような顔立ちをしていた。
小次郎の遊び相手にはならねぇか。
一瞬思ったが、それでも期待はした。
子供のくせに俺を真っ直ぐ見上げる目が勝気そうだったからだ。

「倫、大変だったら電話してくれ。直ぐに迎えをやるから」
「電話することはねぇと思うぞ。案外小次郎とウマが合うかもしれない。俺とお前みたいにな」

カンちゃんは「そうかもな」と俺に言って、健くんには「健、挨拶はきちんとするんだぞ」とリュックサックを背負わせた。



若堂の道場から歩くこと30分。五歳児の足にはちーとばかしキツイ距離だ。
沈みかけた太陽を背中に背負いながら倅と同じ年の子を連れて歩く。
確かに子供らしくないっちゃないかな。口数も少ねぇし。
「今日はおじさんの家にお泊りだぞ」と言ってもじーっと見上げるだけ。
「おじさんちにも健くんと同じ年の子がいるぞ。小次郎ってんだ」と言っても同じ。
「健くんはどんな遊びが好きなんだ?」と聞いても無反応。
家に着くまでずっとこんな感じで、唯一聞いた言葉が「くるま」
父親に持たされたリュックの中身を聞いた時一言だけだった。

「車かあ。健くんは車が好きなんだな」
「…………」

反応なしかよ。参ったな。まあ、かーちゃんにまかせてみるか、と思いながらちっこい手を引いて歩き、玄関を開けると誰もいなかった。

「買い物みたいだ」
「…………」

相変わらず反応は薄い。
薄いがべそをかくわけでもないし、怖がっている様子もない。
なんっつったらいいのか、そう観察しているみたいにじーっと俺を見る。

「ま、いーや。靴、一人で脱げるか?」

健くんは何も答えずにするりと靴を脱いだ。





「上がりな」

居間に行くと、テーブルの上にメモが一枚あった。

『買い物に行ってきます』

やっぱりなと思いながら、健くんに座るように言うと、居間の端の方できちんと膝をそろえて座った。

「そのうち帰ってくるから、遊んでな」

言いながらリュックをおろしてやり、一応「開けるよ」と断りを入れて中身を出す。

「お、カウンタックだ。 恰好いいな」

赤いミニカーを渡すと健くんはコクンと頷いた。

「他には何のおもちゃを持って来たんだ?」
「……」

リュックの中にはミニカーのほかは着替えとタオル、お菓子しか入っていなかった。

「積み木ならあるぞ。トンネルとか坂道作って遊ぶか?」
「……」

何を聞いてもろくに健くんは返事をしない。
だけど、ちゃんと聞いている。

「車が好きなのか? 小次郎は車じゃなくて戦いごっこばかりするんだぞ。仮面ライダーより車の方が恰好いいよな」
「怪獣わかんない。テレビあんまり見ないから」

お、喋った!
普段「喋るな」って言っても喋る子供らの相手しかしてねぇから、一言だけでも健くんが喋ってくれて嬉しかった。

「そっかぁ。テレビ観ないのか。夕飯の時もか?」
「うん」

あ、そうか。飯時にテレビがばりばりついている方がダメなのか。
やっぱしカンちゃんとこは違うなぁなんて思いながら、健くんの頭を撫でた。


「カルピス作ってきてやるから遊んでな」

返事はなかったが、健くんはほんの少し嬉しそうな顔をした。
じゃあ、ちょっと濃いめに作ってやるか。かーちゃんが作るカルピスはうっすいからな。

台所と居間の間にはガラス扉が一枚あるだけだ。
子どもがぶっかって怪我したら危ねぇから普段は開けっ放しにしていた。
だから、居間と台所の境なんか無いのだ。

食器棚の中からプラスチックのコップを出してカルピスを作る。
分量なんか計らなかったし、ちょこっと味見したら吐きそうなくらい甘かった。
濃いめったってこれじゃあんまりか。

そこらへんにジー、ジーとミニカーのタイヤと畳が擦れる音がする。



(ここまででーす)



ここまで書いて、しかも、一応細かい部分まで書いてあるというのになんでここで書くのをやめたのかなぁ……。わたし。
このあと、小次郎が登場するんですよ。は、ははは。

あり得ないんですけど、日向父から見た健を書いてみたかったんです。
あの世から見た健のお話は書いたことはあるんですけど、もっと「if」
公式で日向と若島津の出会いがはっきり描かれたので、このサイトの小次健は「if」だらけになってしまいました。
これから書く物は公式に寄せた方がいいのかなぁという気持ちもありますが、私には無理かなぁ。自分の中のキャラ観が固まり過ぎて取り入れるのは難しそうです。
未完のままお見せするのは恥ずかしいのですが、幼稚園児の小次郎がどんな子だったか、私なりに考えて書いたのでそこだけ見て頂けると嬉しいです。



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