待ち合わせ
二つ並んだベッドに寝そべりそれぞれスマホを弄る。
ブブと手に振動が伝わった。
——ラーメンでも食べに行きませんか?
「なんで直接言わねぇんだよ」
「え? 忙しそうだったから」
「暇そうだから誘ってきたんだろうが」
「ああ、そうかも」
「そうかもじゃねぇよ。っと、わけわかんねぇヤツだなぁ」
言いながらメッセージを送信した。
——OK。三十分後にバス停。
「バス停ってどこの?」
「東邦学園前」
「え? 待ち合わせるの? なんで?」
「なんでって……」
たまにはいいだろ? デートっぽくて。
「おまえ先に出ろ。俺は百数えてからダッシュする」
「わかった。俺はゆっくり歩く」
「それじゃ意味がねぇ。普通に歩け」
「俺が普通に歩いて日向さんがダッシュしたら意味ないんじゃ……」
「だったら俺も歩く。待たせるの嫌いだから俺が先に行く」
「俺も待たせたくない」
「我慢しろ」
「ええええー」
そんなこんなで待ち合わせてラーメン屋に行くことになったわけだが、バス停までの坂道がやばかった。
やべえ。ドキドキする。マジ、デートみてぇ。
デ、デートなんだけど。俺ら付き合ってんだけど。
「ひゅうがさぁぁーん」
ばっ。オメエ、なんで走ってんだよ。
「歩けって言っただろうが。ちゃんと百数えたのか?」
「数えましたよ。走ったのは日向さんが見えたから」
「見えても歩けよ」
「そんなことを言われても……。日向さんの姿が見えたら嬉しくなってしまって」
ぐああああ。たまらん。可愛くてしょうがねぇ。
なんでコイツはこうなんだ?
でけえくせに。俺より強ぇくせに。俺は瓦割れねーぞ。
「怒らないでくださいよ」
「怒ってねーよ」
「ほんとう?」
上目遣いヤメロ。
「ほんとうだ」
「よかった。さ、行きましょ。ラーメン、ラーメン。ウハー、嬉しいな」
た、頼む。
それ以上ハートを撒き散らさないでくれ。
ラーメンじゃなくておまえをバクっといきたくなるから。
なんじゃこりゃ。
こういうバカップル、久しぶりに書いた気がします。