C翼二次創作/小次健love!  

67.『雨が好き』(名刺SSテキスト版)

雨が好きです。
雨を見るのが好き。
傘越しに見る彼が好き。

雨が好きです。
雨が降った後の匂いが好き。
雨上がり、二人並んで歩くのが好き。

ほら、
水溜まりに写る俺は、とても幸せそう。

「ったく。お前はなんでわざわざ靴を汚すかなぁ」

雨が好きです。
雨で汚れた靴を二人で洗うのが好き―――。

だって、特別な事じゃないから。




(2019.5.21twitter投稿)リメイク

拍手[0回]

66.『おんぼろ傘』(名刺SSテキスト版)

二つ並んだ傘の下、若島津はクスクス肩を震わせた。

「何がそんなにおかしいんだ?」
「だって、日向さんの傘、骨、折れてる」

ホントだ……。

「貸して」
「…………」


「直ったとは言えないけれど……。はい」

あいつが応急処置した傘は、ふいに表れた風にひっくり返って元通り。

「ごめん。余計ひどくなった」
「しゃーねーな。もうちょいそっち寄ってくれ」

ぼろい傘でよかった、なんて思う俺はおかしいだろうか。

「もっとこっちくれば? 肩、濡れてる」
「そしたらお前が濡れる」
「平気だって」
「平気じゃねえの」

「ほら、日向さん、もっとこっち。何してんだよ」

ちっとも全然平気じゃねえって。
気付けよ、バーカ。




(2019.5.21twitter投稿)リメイク







拍手[0回]

65.『バスルーム』(名刺SSテキスト版)

彼の何気ない仕草がヤバいと思う。
別に気の利いた台詞なんか要らないんだ。

床に広げた新聞に被さるように屈む背中も、
煮込んだシチューを皿によそう手つきも、
それから、口の周りを白くして歯を磨く時も。

一つ一つの仕草がやばすぎる。
カメラにおさめたくなる。
俺に絵心があれば、紙の上で鉛筆を走らせたくなる。
だけど出来ないから、ただ、見つめる。
触れたくて伸びてしまいそうな手を隠して……。

「熱いから俺が先に洗うぞ」
「どうぞ」

ああ、どっちがシャンプーでどっちがリンスかを確かめてるこの人もいいな。
ポンプを押す手もいい。
飛沫を飛ばしながら髪を濯がれるのはちょっと迷惑ではあるけれど、それも悪くないな、と思ってしまう。

「あー、悪ぃ。飛んじまったか?」
「ううん。大丈夫。……あの、さ」
「なんだ?」
「耳の裏もちゃんと洗ったら?」

耳の形がいいんだよねー。

「首に泡がついてるよ」
「ここか?」

そこにちっちゃーい黒子があるんだ。

「直ぐにのびちまうなぁ」

顎を擦るあんたもいい。

「若島津、髭剃りとってくれ」

この人、歯磨きから髭そりから何でも風呂で済ますんだよね。
見ていて飽きないからいーんだけどさ。




(2019.5.19twitter投稿)リメイク




拍手[3回]

64.『空が青い』(名刺SSテキスト版)

「今頃そんな事しなくたっていいだろ?」
「そうだけど……気になる」

日付が変わろうとしているのに、やけに気になって窓を二枚拭いた。
「外側拭かなきゃ綺麗にならねえだろ」と日向さんはベランダへ出た。
「外は俺がやるから」と言ったけれど、「ごたごた言ってないで手を動かせ」と、ピシャリと窓を閉められる。

俺の手の動きにあわせ、あの人の手も動く。
闇を背にした日向さんはとても綺麗で、恰好いいとかそんなんじゃなくて、本当に泣きたくなるくらい綺麗で、ついつい見とれてしまったんだ。

「さみぃー」
「ごめん」
「綺麗になったか? 夜だからあんまり、わからねぇな」
「ううん、綺麗だった。すごく、すごく」

冷たくなった手を握りしめて、そこに唇を寄せた。

「どうした? 今日のお前は変だな」
「そうかな?」

全てわかったように、彼はクッと喉の奥で笑った。

あくる朝、カーテンを開けると、空が昨日よりも青かった。
昨日よりもコーヒーが美味しくて、
昨日よりも目玉焼きが上手く焼けて、
昨日よりも、この人が好きになった。

毎日、毎日、好きになる。

「若島津」
「なに?」
「お前、今日は一段と綺麗だな」

「バカ、なに言ってんだよ。窓が少し綺麗になっただけ」




(2019.5.18twitter投稿)リメイク




拍手[3回]

62.『もしも』(名刺SSテキスト版)

「日向さん、もしも俺が……」
「またかよ。お前ってホント、もしもの国の人だよな。」

「そんな事ないって。もしも俺が……」
「待った。先に死んだらとかそういうのはナシな。おっかねーから。」
「大丈夫」
「ならいいぜぞ」

「もしも俺が」
「あ。女だったらってのもナシ。お前はでけー男だから。」

「違うって。もしも俺が……」
「ストップ! 別れるって言ったら?つぅのもナシ。絶対別れないから」
「絶対そんな事は言わないよ。だから、さ」

「なんだよ」
「もしも俺が……」
「なんだよ、マジこえーじゃんか」

「だからさ、もしも俺がもっとしたいって言ったら……」

「バカ! 早く言えよ」
「だって、日向さんが……」

「あー! 面倒くせえ! もしもの国から移住して来いよ。バカたれ!」




(2019.5.17twitter投稿)リメイク




拍手[3回]

拍手ありがとうございました。

同じSSを何度も弄りまわす人ですみません。
pixivに「兄と兄」あります。
ピックアップする作品は「これが先!」と思っている方もいらっしゃるとは思うのですが、長いお話はコピペするにもそれなりに時間がかかりますし、サイトにあるので、まぁ追々と、と思っています。
地味に名刺SSテキスト版を作成しておりますので、たまに覗いて頂けると嬉しいです。

☆拍手ありがとうございました。
↓ メッセージのお返事です。

拍手[2回]

60.『ONLY』(名刺SSテキスト版)

「あんた、なんかムカつくんだけど」
「おまえもすっげームカつくんだけど」
「なんで?」
「なんでだよ?」

「だって、ほら、みんな見てる」
「おまえを見てるんだろ?」
「あんたを見てるんだってば」
「おまえだって言ってるだろ!」

「あの、」
「んだよ」
「俺だけ見て」

クーーーーッ!
おまえはなんて可愛い奴なんだっ!

俺の目にはおまえしか写らねえ。
俺の耳にはおまえの声しか聞こえねえ。
俺の鼻はおまえの香りを嗅ぎ集め、俺の口はお前にだけ言うんだぜ。

「若島津、やろうぜ……ぐああっ!!」

俺を殴れるのはおまえだけだっ!




(2019.5.14twitter投稿)リメイク







拍手[2回]

59.『夢で終わらせない』(名刺SSテキスト版)

想いを言葉に変えて彼の唇に触れられたなら……。

夢は夢のままで終わらせないと。
疑いのないその寝顔に汚れた涙が落ちる前に。

「日向さん、ごめんね。こんな俺は見せられない」

吐き出した息をかき消すように風が窓を叩いた。

その音に彼の瞳が開いた。

「俺、寝言とか言ってたか?」
「言ってないよ」
「そっか……」

「おやすみ」と背を向けた俺に彼が言った。

「いくら夢の中で言っても変わらねぇよなぁ」

ただ、見つめ合ってキスをした。
確かめるように何度も見つめ合い唇を重ねた。




(2019.5.13twitter投稿)
あなたは小次健で、【夢にまで見た】をお題に140字SSを書いてください。小説等でもどうぞ。
https://shindanmaker.com/674263






拍手[0回]